『コカ・コーラ ライフ』話題の緑のコーラは、一体何が違うのか? 飲んで検証してみた。
発売前から話題になっていた緑のラベルのコカ・コーラ社による新製品『コカ・コーラ ライフ』(300ml/500ml/1500ml・希望小売価格 税抜140円※500ml・2015年3月発売)。同社としては8年ぶりの新製品。そしてライトではなく「ライフ」、一体この製品はどこを目指しているのか。
これまでゼロカロリー系列のコカ・コーラ製品といえば、コカ・コーラライトやダイエットコカ・コーラ、ノーカロリー・コカ・コーラなど、「コカ・コーラゼロ」という決定版ゼロカロリー製品が生まれるまでは様々な試行錯誤が繰り返されていた。
そしてそれと並走するように、コカ・コーラ プラス、コカ・コーラ C2などというゼロではない低カロリーのブランドも目立たなくも存在していたのを覚えているだろうか。
他メーカーは例えばキリンの「メッツ」や「ペプシスペシャル」などのようにゼロカロリーにプラスして食物繊維を含めた特定保健用食品(トクホ)の道に進んだり、「ペプシネックス(現・ペプシネックスゼロ)」のようにレモン風味を強調した方向に舵を切るなどコーラシーンは近年混迷を極めていたと言っていい。
そんな中でコカ・コーラが出してきたこの『コカ・コーラ ライフ』。純正コカ・コーラが100ml当り45kcalなのに対し19kcalの低カロリーであることと、近年のボタニカル(植物)ブームを受けての甘味料に植物由来のステビアを使用したところが特徴だ。
ただし原材料としての甘味料の量は砂糖が主体。その脇を固めるのがステビアという形。オリジナルコカ・コーラが糖類(果糖ぶどう糖液糖、砂糖)を甘さの主軸に置いているのとはそこが違う。通常主流となっている清涼飲料水といえば、そうした果糖ぶどう糖液糖(異性化糖)を主体に甘みを加え、甘すぎないようにそこに酸味料を加えて爽やかさを醸し出すというのが王道。コスト的にも安価がゆえに使われやすい甘味料だが、近年はいろいろと問題視する声が上がっているのも特徴。むしろ単純な砂糖のほうがヘルシーではないかとする識者も多い。
確かに砂糖もサトウキビ由来だと考えれば立派に植物由来。そこにパラグアイ原産の同名キク科植物の葉を由来としたステビア甘味料が加わる。ステビアは一般的に安全性が高く、アメリカではサプリメントとしても発売されるほどで、近年の研究では糖尿病や高血圧の治療にも使用されるという薬効に近い作用を持った成分。この健康イメージの甘味料・ステビアの使用こそが『コカ・コーラ ライフ』の最大の特徴になる。
とはいうものの、美味しくなくては意味が無い。緑(それもシックな深緑)のラベルに象徴される健康イメージはともかくとして、味の方はどうなのだろうか。早速試してみた。
香りにはさして特徴はない。グラスに注いでも同様。どこから見ても普通のコーラ。
飲み口はさわやか。グイッと飲んだだけではオリジナルコカ・コーラにかなり近い印象。むしろ砂糖のシンプルな甘さにステビア甘味料の特徴であるフワリとした甘味が加わってゴクゴクと飲める。本家よりも爽やかすっきりタイプで、人によっては薄いと感じるかもしれない。しかしそれは果糖ぶどう糖液糖の鋭い甘さに慣れた舌のせい。冷静に味わうと砂糖の甘さが何とも懐かしい雰囲気で心地いい。その甘み、ずばり昔ながらのお菓子テイストなのである。
違うのは後味。やはりステビア特有の舌残りがある。これをキレが悪いと感じるかどうかで好き嫌いが分かれそうだ。今までステビア使用のドリンクは数多くリリースされているが、生き残っているものが数少ないのもこのステビア独特の後味のせい。ただなるべくきちんと冷やすことによってかなり低減されるし、氷を入れて飲めばさらに気になりにくいだろう。
ただ低カロリーをひたすら目指す人ならば、圧倒的に爽快な後味の「コカ・コーラゼロ」という完成度の高い製品があるのでその点だけでこちらを選ぶのは無理がある。やはり健康、安全、ボタニカルなどの視点から捉えるべき製品なのだろう。
確かにコカ・コーラゼロはアスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムK、スクラロースという人工甘味料揃い踏み。長期飲用における安全性ではまだ万全とはいえないものであるし、警鐘を鳴らす識者も多い。
そういった観点から健康・安全面では『コカ・コーラ ライフ』の価値はある。コーラは嗜好品だと考えると、慣れが重要。飲みつければ次第に味覚の感受性も変わってくるのかもしれない。
そういう意味ではオリジナルコカ・コーラの代用としてリプレイスされる可能性も無きにしもあらずか。飲食店がこぞって導入して、食中ドリンクとしての役割を積極的に果たさせるなら、低カロリーという利点で普及することもあり得るかもしれない。
ただし低カロリーとは言っても500mlサイズなら一本で100kcal近くあることは肝に銘じたい。コカ・コーラゼロのようにがぶ飲みしても大丈夫ということではないということだ。
それなりの量で済ます自制心があり、健康・安全面に気を遣っている人にならお勧め。しかしコーラ好きの記者としては健康・安全性のためにこの後味を許すかどうかは、大いに揺れるところ。
皆さんも実際に飲んでみて、自分自身に問いかけてみてもらいたい。自分は”健康・安全・ボタニカルなライフスタイル”にどの程度適合できる人間なのかと。