ナビスコ『リッツ』の後継は『ルヴァン』? 味わいや食感をあらためて検証!
いよいよ実食:味や見た目をチェック!
まずは、いままで慣れ親しんで食べてきた元祖リッツを食べてみる。
やや焦げ目がついているのが特徴的だ。
食感はサクサク。あの味である。
この感覚を忘れないうちに、次は、新リッツを開封する。
パッケージのロゴ色が、ちょっと爽やかな青に変化している。ロゴもポップな印象だが、パッと見ただけでは、新リッツと旧リッツの違いには気付かないレベル。
皿の上に並べれば、ますます見分けは困難。だがまじまじと見てみると、焦げ目の入り方が薄いことに気付く。色合いが、ほんのすこし薄いのが新リッツである。
食感はサクッ、カリカリとしているが、旧リッツよりも若干脆い感じがする。なんだろう、軽い。
そして、これは記者の気のせいではないはずだが、袋を開けてすぐに食べると人工的な、すこし気になる風味があった。袋を開けて放置しておくと消えるようなので、食べる際は一度、すべてを皿に出してから食べることをオススメしたい。
最後にルヴァンを開封する。
丸から四角へ、形状こそ変わったものの、焼きの入り方が旧リッツとそっくりだと感じだ。
驚いたのは、焦げ目だけでなく、食感も旧リッツとそっくりだということ。ほどよくサクッとしてカリカリ。発酵種の風味は前面に出てくるわけでなく、とにかく旧リッツに近いという印象が勝る。「そうそう、この味」と言いたくなる。
まとめ:3つの商品の違いとは──リッツの真の後継者はリッツではない!?
3つを並べてみると、焼き色の違いはよくわかる。そして味も見た目通り、旧リッツとルヴァンの味は非常に似ている。一緒に食べても違和感を感じないほどだった。気になる新リッツの方は食感が軽く、味も少々ライトな印象を受けた。
結論として、旧リッツの後継はリッツではなくルヴァンと断言できる。酸化防止剤のせいなのか、日本とインドネシアの工場設備の違いなのか。もしくは原材料が同じでも品質が違うというのも考えられる。ともかく、新リッツは明確に味が違うと感じた。それが必ずしも悪いわけではないが、以前までのリッツが好きだった人にとっては、ルヴァン一択である。
失礼ながら、今風の華やかなパッケージングとは程遠い『ルヴァン』だが、ヤマザキの静かな自信がうかがわれる仕上がりを実感した。四角い形状も、これまでリッツが提案してきたカナッペやディップにより適していると言える。
この結果は意外かもしれないが、実は予測されないでもなかった結果。というのもそもそもヤマザキナビスコは、ナビスコ製品をただ輸入して販売していたわけではなかったからだ。世界的には有名でも、日本市場ではさして威力のなかったナビスコ・ブランド。それを日本に多大なる時間と手間をかけて定着させたのがヤマザキナビスコだったからだ。
その工夫の第一に、日本国内での製造ということが挙げられる。安心感も大きいし、何より日本人に適した味わいの調整に必要だったから、ということもある。聞くところによると内部パッケージまで、日本の湿度に合わせた調整が行われたそうだから、その徹底ぶりは凄まじい。だからナビスコの名を借りて着実にノウハウを溜め込み、もはやその看板が必要ないまでに完成度の高いビスケット・クラッカーを製造できるという自信こそがナビスコのブランドから撤退した要因なのではないだろうか。だからルヴァンがリッツ以上にリッツなのも、実はそんなに意外なことではないのである。
そして1992年から23年間、日本プロサッカー界の栄冠として有名な「ヤマザキナビスコカップ」も、今年2016年からは「YBCルヴァンカップ」と名称変更するそうだ。安心してルヴァンを手に取ってみて頂きたい。