ゲームで遊びながら投資を覚えよう! 『キャッシュフローゲーム』で投資家生活を体験!
終身雇用制で会社勤めをしていれば生涯安定……という時代は過ぎ去った。これからの激動の時代を生き抜くために必要不可欠なものといえば、お金に関する知識だろう。ボードゲーム『キャッシュフローゲーム』は、遊びながら株式や金融などの投資にまつわる知識や感覚が身につけられる画期的な内容だ。アラサーながら、改めてお金のことを勉強したい記者が実際にプレイをしてみることに!
本格的なボードゲームを楽しみながら、いつの間にか投資やキャッシュフローの流れを学べる!
現在の日本では、見知らぬ人とも楽しくコミュニケーションが取れるツールとしてアナログゲームがにわかにブームとなっており、ボードゲームにも注目が集まっている。
株式会社マイクロマガジン社(東京都中央区)の『キャッシュフローゲーム』(定価 税抜18,000円・発売中)は、世界的なベストセラーである『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者、ロバート・キヨサキ氏が考案した本格的なボードゲームだ。
「金融・財務・投資」の基本的な知識や流れを、遊びながら学べる世界初のボードゲームで、この度日本語版がリニューアルして登場。1996年にアメリカで発売されて以来、世界中の人々が遊んでいる名作だ。
まずは基本的なルールを説明していこう。『キャッシュフローゲーム』は対象年齢は14才以上となっており、2〜6人でプレイできる。所要時間はボードゲームとしても長めの60分〜180分となっており、たっぷり楽しめる。
今の時代は中学生くらいからお金に関する知識を学んでおかないと、あとあと苦労する時代。ゲームで投資について楽しく学べるので、家族や親戚と顔を合わせてコミュニケーションしながら遊びたいところ!
一体どんなゲームなのか? まずは中身をチェックしてみよう
中身を開けていくと、折りたたまれたゲーム版がお目見えするのでテーブルなどに広げよう。一般的なボードゲームと同じように、このゲーム版上で自分のコマを進めていき、マスに書かれている事柄をこなしていくのが大枠の流れだ。
『キャッシュフローゲーム』最大の特徴は、ゲーム版中央にある円形の「ラットレース」と外周部分の「ファーストトラック」という2つのコースがあるということ。プレイヤーは選ばれた職業で得られる給料を元手に不労所得を獲得しつつ、「ラットレース」を抜け出して「ファーストトラック」に入ることを目指す。
そして、そこで一定額以上資産を増やしたプレイヤーがゲームの勝利となるのだ。
全12種ある職業カード。各職業ごとに収入や支出が異なるのが特徴となっている。
プレイヤーは伏せられたカードを1枚引いて自分の職業とするが、初期ステータスに関わってくるので、なるべく使える金額が多い職業を引きたいところ。
職業が決まったら、損益計算書に情報を記載をしていく。おもて面が「ラットレース」用、うら面が「ファーストトラック」用の損益計算書になる。記者はフリーランス歴が長いので、確定申告も行なっているが、どうしてもこういう表に苦手意識がある(簿記検定3級を持っているが)。
とはいえ、最初は職業カードに書かれている収入や支出の情報をそのまま指定の位置に書き加えていくだけである。実際の書面も、指定の場所に指定の金額を入れていけばいいだけなので、原理は同じだ。
損益計算書と合わせて全プレイヤーに1枚ずつ配られるのが、金銭出納帳だ。これはゲーム中に出たり入ったりする現金を逐一記録していくもの。単純に足し算引き算をしていけばいい。「ファーストトラック」に進出したら、「ファーストトラック」用の損益計算書の下部にキャッシュフローの金額を記載していくので、間違えないようにしよう。
ちなみに、ゲーム中に自分の右隣に座るプレイヤーが監査役となり、計算に間違いがないかチェックする役目を担う。現実でもゲームでも、不正はいけないのである。
「ラットレース」を抜けて「ファーストトラック」で勝利を目指せ!
「ラットレース」では止まったマスに応じて「MARKET(マーケット)」「BIG DEAL(ビッグディール)」「SMALL DEAL(スモールディール)」「DOODAD(ドゥーダッド)」のカード効果が発生する。「MARKET(マーケット)」は、投資物件の情報が出てくるカードで、その投資情報に当てはまるプレイヤーは、自分の資産をその書かれた価格で売ることができるのだ。
「Deal」マスに止まったら、「BIG DEAL(ビッグディール)」か「SMALL DEAL(スモールディール)」から手持ちの現金に余裕に応じて、好きなほうの取引を1枚引ける。
選ばれた職業によっても使えるキャッシュの額が変わってくるが、基本的には「SMALL DEAL(スモールディール)」で少額のビジネス投資をしてコツコツと不労所得を増やしつつ、「BIG DEAL(ビッグディール)」で一気に不動産を購入して、さらなる不労所得獲得を目指すという流れだ。
「DOODAD(ドゥーダッド)」は聞きなれない単語だが、無駄遣いのこと。このマスに止まってしまうと、カードに書かれた金額を銀行から借り入れしてでも、強制的に支払わなければならない。人生に不慮の出費はつきものとはいえ、けっこうリアルだ。
各カードの裏面には、投資信託や売り出されている新規ビジネス、株式情報などが記載されている。株式を安く買って高く売る、というのも出たカード次第だ。
「MARKET(マーケット)」と「DEAL」関係のカードは、ほかのプレイヤーが資産を売り買いすることもできるので、引くたびにカードの裏面に書かれている文言を読み上げるのがルールに。
「ラットレース」を抜けると、お金持ちがお金を動かすゲームをする「ファーストトラック」へ。
ちなみに「キャッシュフロー」とは収入と支出の現金の流れのことだが、「ファーストトラック」では買い上げたビジネスの収入がガッポガッポと入ってくる。もはや給料の概念を超越できる夢の世界なのだ。
それでは実際に投資家生活をスタート! やっていくうちにドンドンとハマっていき…!
さて、基本的なルールを紹介したので記者が実際にプレイした模様をお届けしよう。まずはゲーム版を広げて所定の位置に各種カードを置く。コマや移動数を決めるサイコロなども同封されている。
綴りになっている損益計算書と現金出納帳を配ったら事前準備は完了だ。筆記用具は各自用意されたし。書いたり消したりするゲームなので、鉛筆か消せるボールペンを推奨する。また、損益計算書と現金出納帳には限りがあるが、コピーして使用すれば問題はない。もちろん、ある程度ルールを覚えたら白紙に書いてもOKだ。
それではゲームスタート! まずはプレイヤーの職業を決める。裏向きにした職業カードを引いて命運を定めよう。
記者の職業は秘書となった。ちなみに対戦相手である、らぶやん氏の職業はトラック運転手。収入や支出の金額がほとんど同じだったので、条件は対等だ。ルールに則って、職業カードの情報を書き移していく。
ちなみに、夢の欄は自由に記載してOK。秘書だったので某有名起業家の秘書になるという夢を書いたが、このゲームはそういう起業家や投資家のようになっていくゲームなので、庶民感覚が丸出しとなってしまった(らぶやん氏の夢は宇宙船のパイロット)。
あとはサイコロを交互に振りつつ、マス目の出来事をこなしていく。自由に使える現金が少ない職業だったため、最初は「SMALL DEAL(スモールディール)」でコツコツ稼いでいく方針。ゲーム盤上の「PayDay(給料日)」のマスに止まるか通過すると、その度に自身の職業分の収入が得られる。
しかし、そのことを忘れてしまうと後から追加したりできないので注意が必要だ! 記者は2回ほど見逃して無給となった。つらい。
さらに「DOODAD(ドゥーダッド)」で1800$の支出となってしまい、お金がほとんどない悲しい現金出納帳に…。ゲームとはいえ世知辛い現実である。
それでも不動産投資によって少しずつ不労所得が得られるように!
第一関門となる「ラットレース」を抜け出す条件は、この不労所得の金額が総支出額を超えること。この支出もマスの効果で子どもができたりローンが増えると、その分金額が増していく。
進んでは戻り、戻っては進む。ここまでリアルな人生をロールプレイングできるゲームもなかなかないだろう。ゲームの進め方がわかってくると、少しでも不労所得を得ようと策を練ったりする楽しさで、時間を忘れてプレイしていくことに!
対戦相手の、らぶやん氏もコツコツと堅実に資産を増やしていくが、これは絶対に買うべきという不動産案件が「MARKET(マーケット)」に登場! 手持ちの現金が足りない場合は、銀行でローンを組んで借りることができる。
悩みながらも千載一遇のチャンスと見たらぶやん氏は、ローンを組んで購入! じわじわと記者と不労所得の差が広がっていく……。
焦っているときは、なかなかうまくいかないもの。マスには「Downsized(リストラ)」というものがあり、失業してしまった。
総支出分の現金を銀行に納めてプレーも2回休みという切ない状況に陥る。もしもキャッシュフローがマイナスに陥り、現金での支払いができなくなったら破産となってしまう。資産を売却してもマイナスを脱せなかった場合は、ゲームから脱落となってしまうので気をつけよう。
しかし、そんなピンチこそチャンスを掴むためには必要なもの。気合いを入れ直して失業のどん底から這い上がると、少しずつ現金が増えていき、なんとか「ラットレース」を脱出することに成功した!
「ラットレース」を脱出すると、不労所得の100倍の金額を最初のキャッシュフローデーとしてゲットできる。「ファーストトラック」の目標は、マス目で新しいビジネスを買い上げて、その金額に50,000$を上乗せすることだ。「ファーストトラック」では銀行からの借り入れはできないが、苦労の末に掴んだお金持ちの座である。ここからバラ色の人生を幕を開けよう(ゲームの中だけど)!
先に「ファーストトラック」に加わっていた、らぶやん氏とデットヒートするも先行者有利は覆せず、らぶやん氏の勝利となった。「ファーストトラック」では税務調査や離婚、訴訟などで何かと現金が減る。実際に止まってみると、「ああ、ニュースでよく見るのってこういうことなんだな」という謎の納得感が得られるので、一度は止まってみてほしい。
家族や友人と、楽しみながら投資を学べる!
『キャッシュフローゲーム』を実際にプレイしてみると、最初は苦手意識があった損益計算書などの書類も、いつの間にか自分の資産を増やしていく上での相棒のような感覚になってきた。
投資に関しても、必ずしも高額なものから始める必要がないということが身にしみた。無理ない範囲で少しずつ不労所得を増やすことは、そのまま現実にも通じるはずだ。
アラサーの記者でも十分に投資や書面に対する知識がついたので、中学生・高校生のうちからプレイすれば、その経験値こそ貴重な資産となりそうだ。
家族でのコミュニケーションの一助にもなる『キャッシュフローゲーム』を、友人や家族と一緒にぜひ楽しんでみてほしい。
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photo by 尹 哲郎/加藤 真大