会社ナビ :キャンディNo.1企業を目指す『カンロ』は人々と向き合う誠実なキャンディメーカー

ピュレグミでおなじみの「カンロ株式会社」ってどんな会社か知ってる?

 

カンロといえば懐かしい味の「カンロ飴」でおなじみのメーカー。しかし、女性や若年層には「ピュレグミ」などの方が有名だろうか。グミキャンディ市場を牽引する創業100年以上の老舗企業カンロの歴史と今後の展望について探ってみよう。

 

大ブレークしたカンロ飴。カンロは一気に飛躍を始める

カンロ株式会社の成り立ちは、明治から大正へと元号が変わった1912年。日本が初めてオリンピックに参加した年に、山口県熊毛郡島田村清山(現:光市)で創業者宮本政一による個人経営店「宮本製菓所」が開業。創業当初から主な製品は、飴が中心だったが、戦後の不況を受けて砂糖などの物価が上昇。業界全体が落ち込みを見せる中、「日本人が好むふるさとの味」の発想から1955年に醤油を隠し味にしたキャンディ「カンロ飴」を発売。

 

この「カンロ飴」のヒットにより、1960年には社名を現在のカンロ株式会社へと改称したという。

ヒトツブカンロでしか買えないかわいらしい限定商品。プレッツェル型のグミッツェルはかわいさ+外パリ中しっとりの食感で、特に人気なんだとか

その後も業績を伸ばし、1977年に前CI(corporate identity※)を導入。さらに1981年には菓子食品分野で初となる「のど飴」を発売、創業100周年を迎えた2012年には、東京駅にお土産・ギフト用の商品を揃えた初の直営店「ヒトツブカンロ」をオープンするなどキャンディ・グミ市場を開拓し続けている。
※(Weblio 三省堂 大辞林 第三版より)“企業のもつ特性を、内部的に再認識・再構築し、外部にその特性を明確に打ち出し、認識させること。”

現在のロゴ。中央にキャンディをデザインすることで原点であるとともにこれからの進化を担う存在であることを示している

2017年には、長期ビジョンとして「糖から未来をつくり、世界中の人を笑顔にするキャンディNo.1企業になる」を掲げ、新CIを示した現在のロゴに変更となった。コロンとしたカンロ飴のひねり包装を思わせるモチーフとオレンジ色が印象的なデザインだ。

そして2018年2月に本社を西新宿オペラシティに移転し現在に至るというわけである。

 

コーポレート・スローガン「糖から未来をつくる。」にかける思い

2020年で創業108年、設立から70周年を迎えるカンロ。その名前の由来は、中国古来の伝説にある甘露、すなわち天から降る甘い露が語源となっている。

「糖から未来をつくる。」をコーポレート・スローガンに掲げており、単に甘い飴を作るのではなく、糖を基盤とした商品を通じて人々の心や体、次世代につながるアイディアや人と人の新しい関係を生み出す源となることを目指している。小さな飴だが、その1粒にかける情熱はなによりも大きい。

カンロ飴を思わせるまるい椅子も印象的

その思いは会社の内装にも反映されており、受付のエントランスにはこれまで発売してきた飴やグミで飾られたPOPな空間がデザインされている。

カンロ飴の名前が付けられた会議室。カンロ飴のようなライトが印象的な空間

さらに、会議室には「カンロ飴」や「のど飴」といった主力製品の名前が付けられているのもポイント。

内装もテーマに合わせたデザインで装飾されており思わず入りたくなるおしゃれな空間だ。

 

時代とともに変わる飴と変わらない原点

カンロの原点と言えばやはり「カンロ飴」。1955年に発売されて以降、およそ60年間レシピはほぼ変わることなく作られ続けてきた。しかし、時間とともに移り変わる時代のニーズに対応するのも老舗企業の務め。

パッケージも一新され、ロゴがそのまま大きく使われている

2018年に大々的リニューアルを実施し、素材を生かしたものづくりを探求し、「調味料(アミノ酸)」を添加せずにやさしい美味しさを実現した。レシピは変わっても、「カンロ飴」の原点である日本人向けの懐かしい味はそのままなのだ。

 

キャンディだけじゃない! カンロを代表する4つの商品ジャンルとは

カンロの顔である「カンロ飴」を筆頭に、同社では多くの商品が発売されている。

カンロ飴、金のミルク

まずはやはりキャンディだろう。社名にもなった「カンロ飴」やミルクキャンディブランドNo.1の「金のミルクキャンディ」が代表的な商品となる。

2012年に発売された「金のミルクキャンディ」は、後味はしつこくなくすっきりとした味わいの大人のプレミアムミルクキャンディとして、北海道生クリーム使用、香料・着色料不使用にこだわった一品。カンロの素材に対するこだわりが詰まった商品の一例と言えるだろう。

2つ目はのど飴。なんと、1981年に菓子食品分野で初めて発売したのがほかでもないカンロなのだ。

近年の健康志向ブームにうまくマッチしたのか、昨年から2019年の上半期にかけてのど飴の売上が上昇しており、目立ちはしないものの、同社を支える主力製品の1つだ。

3つ目はグミ。定番の「ピュレグミ」や「ジュレピュレ」をはじめ「カンデミーナグミ」をはじめ、この春発売の「あそぼん!グミ」や「100%グミ」など今最も注目すべき商品が顔を並べている。

ピュレグミは、基本的にはかわいらしいハート型のグミだが、まれに「星ピュレ」と呼ばれる星形のグミが入れられているなど遊び心もあるアイテム。

4つ目は素材菓子。グミキャンディ市場で有名なカンロだが、素材を活かした商品にも力を入れているという。発売は2001年と長い歴史から見れば最近の出来事だが、気が付けば来年で20年目。ヘルシーなおやつジャンルとしてカンロを支え続ける商品である。

 

カンロは、これら多くの商品を通じて、人々の未来をつくっているのだ。

 

記者が感じる、カンロのイメージ

人と向き合う誠実なイメージのある会社だ。

平成は社会が大きく変動した時代。人々のニーズは数年ごとにあらゆる方向にシフトし、目まぐるしい変化が起きた。カンロはこの変化に柔軟に対応してきた企業だと感じている。「カンロ飴」という長きにわたる代表商品を2018年にリニューアルしたのも時代のニーズへの適応を決めた証拠と言えるだろう。

また、素材に対するこだわりが強く、ここ数年で香料・甘味料不使用のキャンディや素材菓子などを多く発売しているのも、人々の求める声に誠実に応えているからこそ。比較的女性向けの商品が多いが、その中でもしっかりと男性や若年層にも目を向けたアプローチをしているのが好印象。

 

職人気質のこだわりを持ちながら、人々を幸せにするための活動をきっちりとこなす信頼出来る企業だ。

 

広報の人に聞いてみた

実際のところ『カンロ』とはどんな会社なのか。広報部の林氏に聞いてみた。

 

ーカンロのウリはどんなところ?

100年以上にわたる長い間「糖」に向き合ってきたことが最大の強みです。創業以来、菓子食品業界で初となる「のど飴」や、グミのターゲット拡大に寄与した「ピュレグミ」、香料着色料を使用せず素材そのもののおいしさを楽しめる「金のミルク」など、持ちうるノウハウを生かして様々な角度から「糖」の良さをお伝えしてきました。

 

ー社内の雰囲気や、職場としての魅力は?

とてもアットホームです。特に2018年に本社を現在のオフィスに移転してワンフロア化して以降、より一層部門を超えた社員同士のコミュニケーションが活発になりました。 服装は自由ですし、フレックス制度の活用も推進しているので、社員各々が自分らしく働ける環境です。

 

ー今後の展開について、どのように考えているか?

2017年に掲げた長期ビジョン「糖から未来をつくり、世界中の人を笑顔にするキャンディNO.1企業になる」の達成に向け、企業として進化を続けています。キャンディ・グミなどの商品はもちろん、全ての企業活動を通じて、皆さんの笑顔につなげていきたいと考えております。

 

まとめ:新たな価値を創造しキャンディ市場を牽引する企業

カンロの掲げる企業理念は、次の3つ。

 

「創意工夫」自ら考え、新たな価値をつくり、日々前進する

「信義誠実」品質を高め、価値を高め、信用を高める

「百万一心」力を合わせ、心を合わせ、ともに歩む

 

先ほど「記者が感じる、カンロのイメージ」の中で紹介した誠実というキーワードが入っていて記者自身驚いているのだが、それだけカンロは企業理念に基づいた活動を行っているということだろう。

新商品が次々と求められる現代において、新たな価値を絶えなく提供し続けるのは至難の業。しかしながら、カンロはグミキャンディ市場においてその期待に応え、売上を伸ばし続けている。2021年には売上高260億円を目指し、更なる飛躍をしている真っ最中だ。

 

中でもグミは、今年2月にグミの新生産ラインが新設され更なる売上を目指しているジャンル。積極的投資を行っており、2021年には売上2倍を目標に取り組んでいる(2016年比)。「ピュレグミ」や「カンデミーナ」に次ぐ新たなブランドの開発にも期待が出来そうだ。その際はぜひ検証させてほしい。

 

会社概要

正式名称  カンロ株式会社

事業内容 菓子、食品の製造および販売

本社 〒163-1437

東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティビル37階

資本金 2,864(百万円)<2019年12月末現在>東証2部上場

従業員数 578名(2019年12月31日現在)

売上高 24,039(百万円)(2019年12月)

電話番号 03-3370-8811(代表)

 

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森脇 学

20代男性。工学系出身ライター。食品・工学・アニメ・漫画と幅広い知識を活かして執筆中。関東住まい。

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