ファイナンシャルの基礎知識を遊びながら学べる!『キャッシュフロー・フォー・キッズ』をプレイ!
世界が激動の時代を迎えて経済が大きく変わろうとしている中、大切になってくるものの一つがお金に関する知識や経験だろう。ボードゲームを楽しみながら自然と財政管理や投資について学べるゲーム『キャッシュフロー』を、子どもでも楽しめるように調整された『キャッシュフロー・フォー・キッズ』も日本語版がリニューアルして登場。シンプルなルールで、親子でも楽しめる本作を実際のプレイを交えながら紹介していこう!
財務諸表や損益計算書といった大人でも苦手な単語…!親子一緒に子どもの頃から楽しんで学べば怖くない!
株式会社マイクロマガジン社(東京都中央区)の『キャッシュフロー・フォー・キッズ』(定価 税抜9800円・発売中)は、起業や投資といったお金の働かせ方を遊びながら学べるボードゲーム。
世界的なベストセラーとなった『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者、ロバート・キヨサキ氏が考案。彼の師である金持ち父さんも「親がお金について子どもに教えなかったら、ほかの大勢の人間がいろいろなことを教えようとするだろう」と言っている。
会社勤めをしていれば生涯安定という時代は過ぎ去り、どのような方法でお金を稼いでいくかを主体的に考えていかないと厳しい世の中になった。遊びながら基本的なお金の流れを覚えていくことは、非常に価値があると言えるだろう。家にいることが多くなった昨今、親子のコミュニケーションの一助になってくれるのもありがたい。
ゲーム『キャッシュフロー』は、非常にリアルに投資などのファイナンシャル要素が盛り込まれていたため、対象年齢は14歳以上と高めに設定されていた。『キャッシュフロー・フォー・キッズ』では、6歳以上となり小学生低学年から遊べるのが特徴だ。子ども向けといっても、お金に関する基礎知識がしっかりと学べるので、大人でも勉強や考え方の参考になる。
さて、それでは中身を紹介しつつ、基本的なルールも解説していこう。折りたたまれたゲーム盤には、すごろくのように円形のマス目が描かれており、各種カードを置くスペースがある。
このゲーム盤上で駒をサイコロを振って進めていき、「資産」を増やしながら自分の「不労所得」が「支出」を上回ったら勝利! この基本ルールはゲーム『キャッシュフロー』と同様で、ゲームに勝つために試行錯誤するうち、自然とお金の増やし方や考え方が身につくというわけだ。
「不労所得」と「支出」を管理するのが、財務諸表と描かれたボードになる。緑が「不労所得」を表し、赤が「支出」。ここに各色のトークンを置いて財務状況を管理することで、視覚的にわかりやすくしているのだ。
財務諸表という漢字や単語は子どもには難しいと思えるかもしれないが、子どもの頃からゲームに親しんできた記者の経験からいえば、こういった単語に幼い頃から触れていると親近感がわいて興味が持ちやすくなる。
ゲーム盤のサイドには、「資産」「負債」「サンシャイン」の3種のカードをシャッフルしてセットする。これはゲーム盤のマス目の色と対応しており、緑色のマスに止まったら「資産」カードを、赤色のマスに止まったら「負債」カードを引いてカード裏面に書かれた内容のアクションを確認するといった流れだ。
「サンシャイン」カードは、黄色のマスに止まるか通過した時、コマを動かすサイコロがぞろ目になったときに引くことができる。「負債」カードから守ってくれる効果や家賃アップなど嬉しいことが発生するので、ゲームにさまざまな影響を与えてくれるだろう。
「サンシャイン」カードの効果によって、ルーレットを回すことも。
お金の流れには運の要素も多かれ少なかれ発生するので、いい数字が出るように回していきたいところ!
ゲーム中の現金となる紙幣など、子ども心をくすぐる要素も『キャッシュフロー・フォー・キッズ』に存在。自分の手でお金を使ってこその経験だ。それでは、子ども心を忘れないアラサー記者が友人のゲーマーと一緒にプレイした模様を紹介していこう!
大人でも白熱の投資ゲームを楽しめる!レッツプレイ!
記者と対戦するのは、ゲーム『キャッシュフロー』のときと同じくゲーマーのらぶやん氏だ。
基本的なゲームルールは把握しているので、机にゲーム盤や必要なアイテムをセットしていく。プレイヤーは2人〜6人まで参加可能。小さいお子さんがメンバーにいる場合は、丁寧にルールを教えてあげるのが大人のマナーだ。
ゲーム盤をセットして各プレイヤーに財務諸表を配ったら、「不労所得」と「支出」を表すトークンを管理する「トークン・バンカー」と、現金を管理する「マネー・バンカー」を選ぼう(今回は2人なので、記者がトークン、らぶやん氏がマネーを担当)。
ゲーム中にトークンや現金が必要になった際に配布する役目なので、勝敗には関係ない。初めは親御さんが担当してやり方を見せつつ、お子さんが慣れてきてやりたがったら任せてみよう。
担当者が決まったら「マネー・バンカー」はゲーム開始時の予算となる現金3000$を各プレイヤーに配布。「トークン・バンカー」は財務諸表に置く「支出」トークンを7枚ずつ配るのだ。トークン1枚につき100$なので、「支出」が増えなければ「不労所得」を800$、緑のトークンを8枚以上集めればいいわけだ。この辺りは簡単な算数で計算できる。
準備が整い、お互いにスタート位置から順調に駒を進めていく。青色の「$」が描かれたマスに止まるか通過した際には、給料となる1000$に現状の「不労所得」の金額を加えて、「支出」の金額をマイナスした額の現金を受け取ることができる。
初期状態なら給料1000$+不労所得0$−支出700$=300$だ。大人になれば身にしみて実感するが、この「支出」をどれだけ抑えて所得を増やすかが重要になってくる。
さて、収入を得ながらも「資産」カードのマスに止まったので、カードをめくる。この際、資産を購入するなら書かれている金額を「マネー・バンカー」に支払って「不労所得」を得られるのだ。しかし、記者が引いたのは銀行預金のカード。8000$もの大金を持っていない上に、それだけ使っても増えるのは100$だけ。銀行にお金を預ければいいという思考は、なかなか厳しいのだということを教えられた。
ちなみに、この「資産」カードを買う際には、カードに書かれていることを実行しなければならない。銀行預金のカードだと、「肩を軽く叩き、自分をほめてあげる」というもの。海外ではこのように何か行動をすることで対価を得るゲームがポピュラーだが、日本人の我々はお金の問題と羞恥心の問題とも戦わなければならないのだ(とはいえ、子どもなら楽しそうになんでもやりそう)。
ゲームは進んでいき、初期費用2000$のヘアケアビジネスの「資産」カードを購入した。これで200$の不労所得をゲット! いきなり大きなビジネスを起こそうとするよりも、家でコツコツできる副業から始めるのが身の丈にあった第一歩だ。もちろん、購入の際にはらぶやん氏に記者の髪の毛の綺麗さを見せつけたことを記しておく(反応はとても微妙だった)。
購入した「資産」カードは、自分の財務諸表内にある貸借対照表ゾーンに置いていく。実際には数字をいろいろ書いていく必要がある書類となるが、その原理はゲームの通り入ってくるお金と出ていくお金をまとめたシンプルなものだ。
らぶやん氏も順調に「不労所得」を増やしていき、「サンシャイン」カードを引く。ここで出たのは家賃アップのカードで、借家を「資産」として持っていたらルーレットで出た金額分お金が得られるというもの。このように「資産」を持っていることで発生するイベントは、ゲームでもリアルでも同じだ。記者も不動産の「資産」カードが出たら絶対買おうと決めつつ、ゲームは進んでいく。
「不労所得」の金額も手持ちの現金もリードしているらぶやん氏だが、「負債」カードを引く羽目に! 人生に急な出費はつきものだが、どうなるか。
むだづかいで100$を払うことになるも、事前に入手していた「サンシャイン」カードの人助けの効果で無効化されてしまった。人助けをするといいことがある。そんな人生訓まで教えてくれるとは!
最後までリードを守ったらぶやん氏が、コツコツと「不労所得」を増やしていき、ついに「支出」を100$分上回ることに。ゲームでもリアルでも、どのようにして「資産」を増やしていくかの道筋はたくさん存在するので、楽しく学んだ経験が子どもたちの大切な「資産」になってくれるだろう。
『キャッシュフロー・フォー・キッズ』は、アラサー以上の世代がプレイしても十分楽しめた。
ゲーム『キャッシュフロー』よりも短い時間でシンプルに楽しめるので、遊べる時間やプレイヤーの年齢に応じて遊び分ければOK! 家にいる時間で家族一緒に楽しく遊びながら、有意義に過ごしてみてはいかがだろうか。
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photo by 尹 哲郎/加藤 真大