【黒ビールの基礎知識】『ギネス オリジナルエクストラスタウト』『ドラフトギネス 缶』『キリン一番搾り<黒生>』飲み比べ解説!【宅飲み】
見た目も味も濃厚な黒ビール。ただその基礎知識や楽しみ方を知っておいた方がよりおいしく味わえる! そんなすっきり爽やかだけじゃない、黒ビールの醍醐味・基礎知識を、『ギネス オリジナルエクストラスタウト』『ドラフトギネス缶』『キリン一番搾り<黒生>』を飲み比べながら解説してみたい。
そもそも黒ビールって何? 通常ビールとの違いは?
通常の黄金色の液体のビールと違って、黒い液体なのが黒ビール。その黒い色は、原料の大麦などをコーヒーのように焙煎することで出している。通常はより香ばしい風味が強く、まったりとしたコクで炭酸が弱いのが特徴だ。
ただ黒ビールだからといって100%焙煎大麦ではなく、通常の大麦などとともに使用する。その割合によって茶色に近い黒であったり、真っ黒になったり、バリエーションがある。
黒ビールはイギリス発祥のポーター、アイルランド発祥のスタウト、ドイツ発祥のシュバルツ、デュンケルの全4種類あるが、今回はその中でも一般的なスタイルのスタウトとシュバルツを飲み比べしてみたい。
黒ビールの代表選手『ドラフトギネス缶』はスタウト・スタイル。缶のままNG。飲み方が根本的に違う!
ビールの主な作り方は、発酵温度が高く、濃いめの味わいのエール(上面発酵)とすっきり爽快なラガー(下面発酵)の2種類。黒ビールの代名詞のギネスの製法はスタウト(※強いの意)と呼ばれるエールビールの一種で、ただでさえ濃厚なところに、さらに濃い味わいになる焙煎麦を使っているのだが、ダブルで濃口というわけだ。
ビールといえばキンキンに冷やして、涙目になるほどの炭酸をのどで味わうものと思っている人が飲むと、最初はいろいろ拍子抜けする。炭酸が弱い、焙煎麦の味がすごく濃いし、苦味も感じるなど、違和感しかない。
それは飲み方が違うから。通常のドライでキレがあるラガービールは、キンキンに冷やしてのどごし重視で味わうのが基本だが、黒ビールは舌の奥の方にためて、芳醇さを味わいつつ、程よい弱炭酸の刺激とともにゆったりちびちび味わうのが基本なのだ。
極端にいえば風呂上りののどが渇いた時にキューっと一杯するにはあまり適さないのである。
実際にキリンビール『ドラフトギネス 缶』(330ml缶・CVS実勢価格 税込314円・発売中)を楽しむにあたっては、いろいろ気をつける点がある。まず冷やしすぎない方が(冷蔵庫で3時間程度)おいしく味わえる。本場ヨーロッパでは常温で飲むことも多いくらいだ。そして缶だけれどグラスに注ぐこと。
というのも缶の中にフローティング・ウィジェットという球型カプセルが入っており、それが超絶クリーミーな泡を醸し出すので、それを楽しまなくてはならないから。缶内の圧力を高めるために窒素が注入されているのも、そのためだ。
その泡が滝のように渦巻き落ち着く光景を「カスケードショー」と名付けているくらい、こだわりの部分なのである。しかも一気に缶全量を注がなくてはならない。泡の白とのコントラストを愛でながら約2分待ち、ゆっくりと飲む。
面倒くさいと思うかもしれないが、それらをこなすと、通常の黄金色ビールとはまた違う黒ビールのおいしさをフルに堪能できる。
『ドラフトギネス 缶』は通常のビールよりは濃いめだが、程よいみずみずしさがあり、アメリカンなおいしさも感じられる飲みやすさが特徴なので、入門者でもここまですればとてもおいしく味わえる。
泡に関してはそのまま顔に塗りたくりたくなるほど、きめ細やかさが気持ちいいスペシャル泡。香ばしさがふわっと立ち、なめらかな液体が心まで潤してくれるような。飲んだ後はクゥーッではなく、ホッ。
『ギネス オリジナルエクストラスタウト』は19世紀のレシピを引き継ぐスタウト・ビールの源流の味!
『ドラフトギネス 缶』は現代的にアップデートされた味わいの黒ビールだが、キリンビール『ギネス オリジナルエクストラスタウト』(330ml瓶・参考売価 税込319円・発売中 ※2020年3月中旬の出荷分から新パッケージに順次切り替え)は、1821年(日本は文政4年)に確立したレシピを引き継ぐ正統派の黒ビールだ。
『ドラフトギネス 缶』は窒素を添加しているが、こちらはしておらず、本来のロースト風味をより強く味わえるのが特徴だ。
黒ビールとしては炭酸は強めで、長続きする。焙煎大麦が香ばしく、苦味と甘味が生み出すハーモニーはひたすらに深い。栄養感さえ感じてしまうこの重厚さ、麦芽風味の強さはまさに大人の「ミロ」で、強い子ならぬ強い大人にしてくれそうなおいしさだ。
ちびちびと飲んでまったりと在宅ライフを充実させられる、芳醇極まる黒ビールワールド。この味わいはクセがあるが、そのクセがクセになる人も多いに違いない。
『キリン一番搾り<黒生>』は日本人のビールスタイルに寄り添ったシュバルツ・スタイル
味の濃いエールビール(上面発酵)をベースにしているスタウト・スタイルに対して、ドライな爽やかさが特徴のラガービール(下面発酵)をベースにしているのがシュバルツ・スタイルだ。文豪ゲーテのお気に入りでもあったという。
そんなすっきりベースの黒ビールがキリンビール『キリン一番搾り<黒生>』(350ml缶・CVS実勢価格 税込約224円・発売中)である。つまり風呂上りのキューッと一杯、のどの渇きを一気に癒すというラガービールのおいしさを併せ持った黒ビールとなる。
実際に飲んでみると、苦味がギリッと来て酸味も炭酸もあり、キレがいい。そして広がる黒ビール的なアロマ。まさにドライなラガービールと黒ビールのハーフ&ハーフ的な印象だ。
黄金色のビールの飲み方そのままに、黒ビールのエッセンスを味わいたいという人にとっては、最適。ぐいぐいのどで味わいたいならこっちだ。ビール好きが初めて挑戦する黒ビールとしても適していると思う。
黒ビール3種類の入手はスーパー、コンビニエンスストア、ネット通販などで可能だ。
photo by 尹 哲郎/Official images