【飲み比べ】10年ぶりの進化で『キリンラガービール』はどう変わった!?【ラベルの歴史付】

クリアで繊細により飲みやすく、現代的に進化

 

130年の歴史を持つ『キリンラガービール』が、ついに10年ぶりのリニューアルを果たした。飲みごたえや苦味はそのままに、ホップと仕込工程を見直し、苦味の質を高めて新しく生まれ変わった。気になる進化のほどは? どう変わったか、新・旧で飲み比べてみた!

 

『キリンラガービール』はどう進化した?

キリンビールの原点とも言える『キリンラガービール』(350ml缶・実勢価格 税込 約228円・2020年7月中旬製造品から順次切り替え)は、ホップの効いた本格ビールの飲みごたえと苦味が特徴のラガービール。“爽やかな香りと苦味が特長のドイツ産ヘルスブルッカーホップを使用し、飲みごたえと締まりのある後味でラガービールファンの心を掴んできた。

 

『キリンラガービール』は、まだ日本でビールが普及がしていない1888年に「キリンビール」というブランドで発売された。その後本格ビールを目指して醸造を行い『キリンラガービール』に名称を変更。根強いファンを持ち、今日に至るまで130年以上飲み継がれてきている。

 

左がリニューアル品で右が旧製品。文字色が変わっている。原材料は変化なし。カロリー、糖質が微妙に低くなった

今回のリニューアルでは、苦味・渋味の強いホップの比率を減らし、穏やかな苦味をもたらすホップの比率を増量。仕込工程で酸味を抑える工夫をし『キリンラガービール』らしい飲みごたえと苦味、よりバランスのとれた飲み飽きないうまさに進化している。

 

進化のポイントは以下の通り。

  • ホップを増量
  • ホップ配合を調整
  • 仕込工程の最適化 

どのように変わったのかを比べてみる。

 

受け継がれる『キリンラガービール』お馴染みのラベルの変遷

左が新、右が旧

加えてパッケージデザインもリニューアル。

 

缶のベースは金が新、銀が旧

新しいパッケージは金色がベースになり、一目でリニューアルがわかるよう、新の文字が大きくあしらわれている。伝統を引き継ぎながら、本格感や品質感を強化したデザインだ。

 

実は『キリンラガービール』のデザインの歴史は長い。130年の歴史の中で、時代と共にパッケージを微妙に進化させてきている。

『キリンラガービール』の130年に渡る、そのデザインの歴史を振り返ってみよう!

1888(明治21)年、キリンビールの前身であるジャパン・ブルワリー・カンパニーが「キリンビール」の商品名で発売。

1889(明治22)年、重役トーマス・ブレーク・グラバーの提案で変更された、お馴染みの麒麟。

1907(明治40)、「キリンビール」の商標が麒麟麦酒株式会社に引き継がれた年。以後、聖獣麒麟の図柄は、他のビール商品にも使われるようになって行く。

1940(昭和15)年、ラベルにほどこされた金箔の使用を廃止。戦争の影響により、ビールに生産制限・配給制が実施。

1949(昭和24)年、一時廃止だった商標から、久しぶりに麒麟が復活。深刻な物資不足から、青一色でサイズも小さいラベル。

1957(昭和32)年、ようやく高度経済成長期に。多色刷りが復活。

1975(昭和50)年、取り扱い注意と、ビールの製造時期が表示されるようになった。

1989(平成元)年ラベル

1987(昭和62)年にラベルの素材が紙からアルミ箔に。1989(平成元)年から、ラベルの帯部分の文字も初期の“LAGER BEER”に戻る。

1994(平成6)年、デザインの一部が変更され、今回のリニューアルまで愛され続けてきた。

現在反対面のラベル。左が新、右が旧。

お気付きだろうか。1889年以降から120年以上経っても、ほとんど変化していない。麒麟が大きく描かれた、お馴染みのラベルのままだ。これは品質本位の思いを引き継いでいる証とも言える。

 

『キリンラガービール』新旧飲み比べ

まずは従来の旧『キリンラガービール』から飲んでみたい。

しっかりとした炭酸のキレと、ホップの苦味。アルコール5%だが、ずしっと染みる飲みごたえがある。

 

次に、新『キリンラガービール』を開封。ホップの香りは、それほど変化を感じない。

 

グラスに注いで比べてみると、色がやや薄く、黄色がかったように思える。しかし、見比べなければほとんど変化はない。

 

一口飲んでみる。あれ、苦味が無くなった? 旧の苦味を想像していると、真っ先に苦味の変化を感じる。苦味に角がなくなって、酸味が抑えられたような印象だ。雑味がなく、クリアで軽やかになっている。苦味よりホップの旨味が抜き出たようで、風味が繊細になり、後味がスッキリした。

 

口に含んだ時の炭酸が、細やかになり、口当たりの荒さが抑えられたようだ。例えるなら、無骨な漢から柔和な男性のように進化したような感じだ。雑味がなく飲みやすいので、今の時代に合っている。新たなファンも増えそうだ。

 

しかし、現代的に進化した『キリンラガービール』だが、記者的には旧の苦味や雑味が恋しいような気もする。同じように強めな味わいを好むファンも存在するはずなので、好みが割れそうだが、果たして?

『キリンラガービール』は、全国のコンビニ、スーパー、ドラッグストアなどで入手可能なので、進化のほどを確かめてみてはいかがだろう。

 

 

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玉恵

造形デザイン・カメラマンを経てライターに転身。ライター歴7年。好奇心旺盛でとにかく食いしん坊。北海道のド田舎出身。

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photo by 尹 哲郎

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