有名絵画を闇のオークションで競り落とす!ボードゲーム『真贋のはざまで』をプレイ!
昨今、電源を使わないで遊ぶアナログゲームの人気が高まっているのをご存知だろうか? ゲームを通じて見知らぬ人とも気さくにコミュニケーションが楽しめることで、ボードゲームを扱うお店やイベントも盛況だ。そんな中、ジグソーパズルを主に手がけるやのまんからボードゲーム『真贋のはざまで』が発売された。本物か偽物かを見極めて、絵画をオークションで収集するという趣きの本作を、プレイ模様も交えてご紹介する!
真贋を見極めて闇のオークションを制するのは……?
裏社会のアートマーケットを舞台にして、有名絵画をオークションで売買し合うボードゲーム『真贋のはざまで』(プレイ人数 4~9人・対象年齢 12歳以上・プレイ時間目安 45分~・希望小売価格 税抜3500円)。プレイヤーは伏せられた役職を与えられ、計3ラウンド行われるオークション内で自分の目的にあった絵画を収集していき、最終的に多くの勝利点を稼いだものが勝利となるルールだ。
パッケージにも描かれている『モナ・リザ』をはじめ、誰もが1度は見たことがあるだろう世界中の名画が多数登場する。しかし、見たことがあるからといって、それが本物かどうかはわからない。有名であればあるほど、さまざまな贋作や価値の高い複製が存在するのが絵画というもの。
『真贋のはざまで』ではそれが忠実に再現され、ゲームに盛り込まれている。まずは簡単なルール説明からしていこう。
世界一有名な絵画といっても過言ではないレオナルド・ダ・ヴィンチ作『モナ・リザ』のカードを3枚並べてみる。見た目では中々違いが分からない…。
真贋の判定は制限時間中に出品しているプレイヤーに質問をすることで判断していく。
絵画の裏面には真作か贋作か、はたまた価値のある複製かといった情報や、絵画の紹介文が記されており、それを探ったりごまかしたりしていく。
ゲーム終了時に所持している絵画の価格が最終的に勝利点となるので、基本的な流れとしては数億ドルの価値がある真作を確実に競り落としていくことが重要だ。
絵画に詳しい方であればご存知だろうが、『モナ・リザ』にはもう1枚アイルワースの『モナ・リザ」が存在しており、今もなお真作かどうかの議論が行われている。『真贋のはざまで』にはその両方の『モナ・リザ』が収録されているので、ゲームをより複雑に、面白くしているのだ。
たとえば「その『モナ・リザ』はアイルワースですか?」といった質問をして、出品されているのがどちらの『モナ・リザ』かを選定していくのがオーソドックスなプレイといえる。
裏面の枠内に書かれている情報に関しては出品プレイヤーは嘘をついてはいけないので、的確な質問をしたり、それまでの場の状況や立ち回りから真作か贋作かを見極めていく必要がある。嘘をつくのがNGであって、「そうかもしれませんね」などとはぐらかした回答はOK。
なので、質問すべてに回答があるわけではないのがミソ。真作は当然のことながら2つ存在しないので、場に同じ絵画が多数ある場合は、ほかのプレイヤーに意見を求めたり自分のカード情報から推察することも重要だ。
オークションでは価値のある真作を求めていくわけだが、本作にはプレイヤー1人につき1つの役職カードが配られる。これは本人しか確認することができず、「画学生」や「贋作師」といったように、それぞれの役職に応じてゲーム終了時に条件を達成するとボーナスポイントが入るようになっている。
通常はほとんど価値のない贋作カードも、「贋作師」に取ってみれば必要なものなので、一定枚数以上所持していると枚数に応じたポイントが入る、という具合だ。
「美術警察」のように、特殊能力を発動することができる役職も存在。どのプレイヤーがどの役職なのかは、そのプレイヤーがどんな立ち回りをしているかで現れてくるので、最終的に役職による追加点の有無も想定しながらゲームを進める必要がある。
オークションで絵画を競り落とすためには、プレイヤーに配られたお金が必要だ。贋作を真作として売りつけて大量のお金を入手して、自分はほかの真作を多額で競り落とす……というように、考えながらゲームを進めていく。
役職の1つである「アートブローカー」以外のプレイヤーはお金をゲーム終了時まで持っていても追加得点にはならないので、うまく使い切るようにするのがコツだ(逆にお金を使わないでいるプレイヤーが「アートブローカー」である可能性が高い)。
絵画の情報や各役職の能力を覚えていればゲームに有利になることは間違いないが、基本的なオークションのルールさえ頭に入れればプレイは可能。運の要素もあるので、頭脳戦が苦手という人も勝利のチャンスはある! というわけで、早速実際のプレイをしてみることに。
それは真作?贋作?ゲーマー同士で実際にプレイ!
記者をはじめゲーム好き4名で『真贋のはざまで』をプレイ。それぞれ3枚ずつ付属の絵画袋からランダムに絵画を選出する。『モナ・リザ』と思しき絵画が3点、さらにTVアニメ『フランダースの犬』にも登場したピーテル・パウス・ルーベンスの『聖母被昇天』も3枚。手持ちの絵画の情報とほかのカードを照らし合わせることで照合はある程度可能になるので、なかなかに読み合いが激しくなりそうな展開が予見される。
順番に絵画をオークションに出品していくが、質問や入札を行える時間は砂時計で計られる。これが絶妙なバランスとなっており、多くの情報を質問で引き出そうとしたり、競り合いになったときに金額を上乗せするかしないかを考えているとあっという間にタイムアップとなってしまう。最終的には山勘で真作と見極めて、多額のお金を積み上げる度胸のプレイングも必要だ。
また、タイムアップ後、入札者だけが増額(レイズ)出来るのでそこでどうするか考えるのもテクニックの一つだ。
難しそうだと感じていたルールや、絵画の情報をしっかりと頭にいれないといけないのではという懸念も最初のプレイではあったが、やっていくうちに相手の顔色やリアクションを伺いながら和気藹々とゲームは進行。記者は「贋作師」の役職だったのでこっそり贋作を引いていく立ち回りをしていたが、追加点に必要な枚数を集めきれずに3着という結果に。逆に真作を集めつつ「アートブローカー」の役職を持ったプレイヤーが多額のお金を持ってゲームを終了し、勝利をおさめていた。
続く2戦目は最初の2ラウンドは、ほぼほぼ贋作と判明している絵画をあえて買い付けて出品し回すプレイが横行。各プレイヤーの手札の中に高額な真作が多く存在していることが示唆された。しかし、最終3順目には自分の隣のプレイヤーに出品する絵画を強制的に選出されるので、真作とおぼしき絵画が場に出ると買い付けが白熱。
かくいう記者もエドヴァルド・ムンクの『叫び』の真作と価値ある複製の両方を所持していたが、最後の最後で真作を出品することになってしまい、2着止まりでフィニッシュに。真作を保持できていれば勝利だったので、悔しいところ。
ゲーム終了後に手持ちの絵画や役職をオープンして感想戦を行えるのも、アナログゲームの魅力の1つ。真作だと思っていたのが巧妙に偽装されて出品された贋作だと判明したり、立ち回りの答え合わせをすることで次回以降に役立つ経験値となる。
実際にプレイをしてみると、なんとなく知っているだけだった有名絵画に関する知識が増えたり、時間が経つのを忘れてゲームに没頭していた。プレイしたほかのプレイヤーからは「カードのデザインやオークションの独特の雰囲気がよくできていた」「読み合いの会話が楽しい」「ルールが複雑そうだったけど、やってみたら面白かった」という意見が。
反面、4人プレイでは役職を読み合うことに重要性があまりなく、場の絵画の状況で不利になってしまうものもあったので、なるべく大人数でプレイした方が情報も出やすく盛り上がれるだろう。
絵画好きはもちろん、基本的なルールさえ覚えてしまえば誰でもプレイできるパーティーゲームの1つとして、『真贋のはざまで』を遊んでみてはいかがだろうか? 面白いかどうかの真贋を、ぜひプレイして確かめて見てほしい。
また、ゲームの世界観だけでなく、アートブローカーの生き様を垣間見ることが出来る面白い動画もあるので、これもぜひチェックしてみて。
公式サイトはこちら
photo by 尹 哲郎