日本映画音楽界の巨匠・大野雄二、松崎しげる、ダイアモンド☆ユカイが登壇!『角川映画シネマ・コンサート』制作発表会見レポ
『犬神家の一族』をはじめ、角川映画3作品の名場面に合わせて生演奏が楽しめる『角川映画シネマ・コンサート』(4月13・14日/東京国際フォーラム ホールA)の制作発表会見に、大野雄二さん、松崎しげるさん、ダイアモンド☆ユカイさんが登壇。当時の楽曲制作秘話やコンサートの見どころ解説、さらには恐ろしい!?“スケキヨ”バースデーケーキのサプライズに沸いた会見の模様をお届けする。
角川映画の名シーンがオーケストラ生演奏で蘇る!
『角川映画シネマ・コンサート』は、アニメ『ルパン三世』の音楽制作でも知られる日本映画界の巨匠・大野雄二さんが同時期に音楽を手掛けた角川映画初期を代表する3作品『犬神家の一族』(1976)、『人間の証明』(1977)、『野性の証明』(1978)の名場面を、オーケストラの生演奏と共に堪能できる角川映画初のシネマ・コンサート。
総勢約50人の「“SUKE-KIYO”オーケストラ」を引き連れ大野さん自身も鍵盤奏者として演奏するほか、『野性の証明』の主題歌『戦士の休息』を松崎しげるさん、『人間の証明のテーマ』をダイアモンド☆ユカイさんが歌唱。公演には『犬神家の一族』で主演を務めた石坂浩二さんも駆けつけ、スペシャルトークを行う。
制作発表会見に登壇した株式会社KADOKAWA代表取締役井上伸一郎専務執行役員は、「角川映画の代表作といっても過言ではない3作品のシネマ・コンサートを開催できることを大変嬉しく思っております」と挨拶。
「『犬神家の一族』が上映された時は、高校三年生。当時の少年はみんな真似をしたと思いますが、私もプールで逆立ちをして足を突き出して遊んでおりました。『人間の証明』においてはジョー山中さんの歌声、『野性の証明』については薬師丸ひろ子さんの可愛さに釘付けになった思い出があります」と、当時の記憶に思いを馳せた。
大野雄二が語る市川崑監督「音を出すたび『違う』と言われた(笑)」
続いて登壇した大野さんは公演への意気込みを聞かれ、「あんまり意気込むタイプではないので、ごく普通にやりますけどね」と、フランクにトークを開始。「ふだん一緒に仕事をしているメンバーで、色々なジャンルが入り交じったオーケストラなので、アレンジを変えたり、その場での雰囲気でアドリブを入れたり。かなり楽しめるコンサートになると思います」とアピールした。
『犬神家の一族』で監督を務めた市川崑さんとのエピソードについて問われると「市川さんからは、音を出すたびに『なんか違う』と言われた(笑)」と答えた。「昔は映写機でフィルムを回しながらやっていたので、『違う』って言われるとフィルムを巻き戻すのに時間がかかるんです。なので、結構な時間をかけて作りましたよ」と告白。一方、ほか2作品の佐藤純彌監督は「市川さんと正反対で、一切文句を言わない方なんです。『人間の証明のテーマ』とかも、わりと好きにできましたね」と振り返った。
さらに「この3作品で角川さんがやりたかったのは、映画音楽を作るだけじゃなくて、映画の封切りと同時に『本』と、サントラのような『アルバム』を発売することだったんです。当然、映画ができてから音楽を作っては間に合わないので、オープニングテーマも僕が台本を読んで作ったんですよ」と制作秘話を明かした。
松崎しげる&ダイアモンド☆ユカイがコンサートへの意気込みを語る
続いて舞台には、ゲスト・ボーカルを務める松崎しげるさん、ダイアモンド☆ユカイさんが登場。松崎さんは「『野性の証明』公開当時は27歳で、角川映画は青春ど真ん中。なんか時代が変わったっていう気がしたよね。僕は『ルパン三世』世代で大野さんは憧れの人なので、一緒にステージができるというのはすっごくうれしいです」と歓喜の表情。
『戦士の休息』の歌唱に向けて、「原曲を崩す気はないですが、どこかでシャウトできたらいいですね。大野さんとのコラボする中で、音楽のルールからは外れない程度にちょっと枠から外れてみようかな」と意気込んだ。
一方ユカイさんも「松崎さん、大野さんは憧れの先輩たちなので、一緒のステージに立てて光栄です」と笑顔。『人間の証明のテーマ』を歌唱することについて、「とにかく強烈な曲ですよね。一回聴いたら耳から離れない。最初の“ママ―”だけでやられちゃう。自分の青春時代のすべてが詰まってるといってもいい楽曲です」と熱いコメント。
さらにマザコンを自認するユカイさんは、「実は去年母親を亡くしまして。泣かないように心を込めて、ダイアモンド☆ユカイなりの『人間の証明』を。昭和の光と影を背負った楽曲を、一生懸命歌わせてもらうだけです」と力強く語った。
今回、2人の歌唱は大野さんからの指名によって実現。大野さんは「松崎さんは、CMを一緒にやったこともあって(声が)バシーン!と来る感じがすごいんです。前に歌っていた人のことを気にせずに、松崎さんらしく歌ってもらいたい」とエールを送った。ところがユカイさんに関しては「実は、そんなに知らないんですよ(笑)」と驚きの発言。けれども「そこがミソ。一緒にやってみたかったの、おもしろくなるんじゃないかと思って」と続けると、ユカイさんは「ありがとうございます!ダークホースです!」と笑いを交えて気合いを入れた。
ちなみに大野さんは、当日のトークゲストである石坂浩二さんと高校・大学の同級生。だが、学生時代はあまり交流がなく、大野さんが手掛けたCMのナレーションを石坂さんが務めた際に、初めて「石坂浩二が武藤兵吉(石坂の本名)と知った」という。そんな縁ある石坂さんとの共演にも「楽しみですね」と胸を弾ませた。
恐怖のバースデーケーキ登場に「呪われたりしないですか?(笑)」
制作発表会見日は、ユカイさん56歳の誕生日間近ということで、サプライズで“スケキヨ”ケーキが登場。ユカイさんは「中からは何も出てこないですよね?食べると呪いが掛かるとかないですか?殺されたりしないですよね?(笑)」と一瞬たじろいだが、松崎さんからケーキを食べさせてもらうと、「最高です。歳を取るって悪いことじゃないんですね。大先輩に囲まれて、こんなに恐ろしい誕生日ケーキは初めてです。コンサートでは思いっ切り、歌わせてもらいます!」と感激した。
御年68歳の松崎さんが「ほとんど同い年みたいなもんだよ」と話し笑いを誘うと、大野さんも「ステージに上がっちゃうと年齢はほぼ関係ない。僕も最初は、人がいないようなところでやるのが好きなジャズピアニストで、挙げ句の果てでこうなっている(笑)。プレイヤーの血がある作曲家でいたいと思っていて、その場で起ることが大好き。だから当日は、何が起きるかわからないっていうところを楽しんでほしい」と、笑顔でコンサートの見どころを語った。
角川映画の世界を満喫できる贅沢なコンサート!チケット好評発売中!!
『角川映画シネマ・コンサート』は、4月13日・14日に東京国際フォーラム ホールAで開催される。チケット料金は全席指定 税込9,800円(未就学児入場不可)で好評発売中。
会場には、角川映画に関連する貴重な資料等の展示のほか、公開当時のポスター、チラシ、台本、市川崑監督ゆかりの品々、さらにフォトスポットとして「スケキヨ像」も設置予定。角川映画の世界を思う存分堪能できる公演をお見逃しなく!
公演の詳細は公式サイトまで。
公式サイトはこちらphoto by 尹 哲郎