ケニアの母子支援で飛躍的実績、塩野義製薬が「Mother to Mother SHIONOGI Project」2年目の活動報告を実施

塩野義(シオノギ)製薬株式会社は2018年3月6日、都内にて、2015年10月から取り組んでいるアフリカ・ケニアの母子支援活動「Mother to Mother SHIONOGI Project(マザー・トゥ・マザー シオノギ プロジェクト)」の活動報告を行った。

 

「Mother to Mother SHIONOGI Project」とは?

「Mother to Mother SHIONOGI Project」は、塩野義製薬の総合ビタミン剤「ポポンS」シリーズの売上の一部や同社従業員からの寄付をもとにケニア共和国ナロク県イララマタク地域の妊産婦・新生児、乳幼児の健康につながるよう、医療面での自立をサポートする活動。

塩野義製薬 執行役員・海外事業本部長の竹安正顕氏。

報告会では、冒頭、あいさつに立った塩野義製薬・執行役員、海外事業本部長の竹安正顕氏から、当初3年計画を見込んでいたプロジェクトを2年間延長したことが告げられた。プロジェクトを公的な活動に引き継ぐため、プロジェクトが積み上げてきた実績をデータ化し科学的に実証することが不可欠と考え、その期間として2年が必要と試算したという。竹安氏は「説得力のあるエビデンスを作ることで、このプロジェクトにサスティナビリティ(=持続可能性)を持たせたい」と語った。さらに、熱帯医学で実績のある長崎大学や現地の大学と連携し、成果の科学的実証を進めることも発表された。

 

「ポポン®S」「ポポン®Sプラス」の売上の一部を、アフリカの妊産婦と子どもたちの健康に役立てるプロジェクト、それが『M2Mシオノギプロジェクト』。

 

竹安氏に続いて、プロジェクトに協力する国際NGO「ワールド・ビジョン・ケニア」の保健・栄養分野アソシエイト・ディレクターであるミリアム ムベンベ ムニアフ氏から、ケニアと活動地であるイララマタク地域での母子医療と衛生面での現状と、活動の実績が報告された。

国際NGO「ワールド・ビジョン・ケニア」アソシエイト・ディレクターであるムニアフ氏。

ムニアフ氏はまず、ケニアでは、5歳未満児の死亡率が1,000の出生あたり「52人」(日本は2.7人)で、妊産婦の死亡率も10万の出生あたり「362人」(日本は5人)と極めて高いことが説明された。そのケニアでも、マサイ族が住むイララマタク地域では、保健施設(技能者付)での分娩率が「3.2%」(ケニア全体では62%)であり、水へのアクセスが可能な世帯率が「3.8%」(ケアに全体では52.6%)、トイレのある世帯率が「2.7%」(ケニア全体では61.1%)であることも告げられた。また、イララマタク地域では、女性の地位が極めて低く男性がすべての決定権を持っていることや、家庭で出産する伝統があることなども説明された。

ケニアの妊産婦・新生児を取り巻く環境は、過酷。

活動実績の報告では、ムニアフ氏から、1年目の成果として建てられた外来棟に加え、2年目の実績として産科棟や雨水貯水タンク、様々なサービスを提供する診療所などが稼働したことが紹介された。加えて、ムニアフ氏は、コミュニティを巡回しての医療活動や、妊婦の夫である男性たちの啓蒙活動にも力を入れていることを告げ、「来年の報告会では妻が診療所で出産をした男性を招いてスピーチしてもらいたい」と声を弾ませる一幕も。

M2Mの活動が、ケニアの保健向上に地道な寄与。

活動の結果、活動開始前の2015年には「6件」だった診療所での出産件数が、1年目の2016年には「14件」になり、2年目の2017年には「23件」となったことが報告された。ムニアフ氏は「少ない数字と思うかもしれませんが、男性が決定権を持っているコミュニティの中で、男性の許しを得て妻が診療所で出産することがいかに大変なことなのかを考えてほしい」と補足。妊産婦の産前健診の受診数累計も、2015年の「94件」から、2016年「398件」、2017年「515件」と推移。予防接種を完遂した5歳未満児の数は、2015年「13人」、2016年「360人」、2017年「471人」と飛躍的に伸びており、プロジェクトが着実な成果を上げていることが報告された。

 

 

国際NGO「ワールド・ビジョン・ジャパン」事務局長の木内真理子氏も登壇

最後に、国際NGO「ワールド・ビジョン・ジャパン」事務局長の木内真理子氏が登壇。「ワールド・ビジョン」の活動の目的が、子どもを取り巻く環境を改善する長期的な包括的コミュニティ支援にあることが説明された。

国際NGO「ワールド・ビジョン」ジャパン事務局長の木内真理子氏。

また、「Mother to Mother SHIONOGI Project」の2年間の活動期間の延長の背景には、2015年9月に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」があることが告げられた。

木内氏は、「地域が、村落保健員が、保健センターや診療所のそれぞれが自分たちの受け持ち分野で、今起こっていることが何で、何が必要なのかということをきちんと発信することができれば、県・郡レベルで、もしくは、ケニアの国レベルで、有効な対策が取られるのではないかと思っています」と見解を示した。「このケニアの小さな片田舎で始まったプロジェクトが、塩野義製薬様の多大なリーダーシップでこのように長期的なサスティナビリティを持つビジョンを描くことができることを大変嬉しく思っています」と目を輝かせた。

 

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